前回までに、Dockerで、MySQLのテスト環境を以下の3つの異なる方法で作成してみました。
その方法を要約すると、次の様になります。
1.概要(だいたいの比較)
(1)方法A(docker pull)
docker pull コマンドで、mysqlイメージをダウンロード後、docker run コマンドで、MySQLを実行します。
多分、この方法が、3つの中では、1番お手軽で早い方法だと思われます。
(2)方法B(Dockerfile)
Dockerfileを作成し、docker build コマンドでDockerイメージをビルドし、docker run コマンドで、MySQLを実行します。
少数、個人で使用する開発環境を作成するなら、この方法が確実な気がしています。
(3)方法C(docker-compose.yml)
docker-compose.ymlを作成し、それに基づいて、docker-compseコマンドで、mysqlコンテナを作成後、MySQLを起動します。
この3つめの方法は、職場や大人数で開発する場合に、しかもSW構成数が多い場合に、メリットが生きてくる方法だと思います。
2.詳細(詳しい手順)
上記1で挙げた3つの方法についての具体的な手順は、以下の通りです。
(1)方法A(docker pull)
→ 別記事「[レビュー] (docker pull編)Docker DesktopでMySQLのテスト環境作成」参照
(2)方法B(Dockerfile)
→ 別記事「[レビュー] (Dockerfile編)Docker DesktopでMySQLのテスト環境作成」参照
(3)方法C(docker-compose.yml)
→ 別記事「[レビュー](docker-compose編)Docker Desktop上で、MySQL試験環境作成」参照
3.比較検討(上記の特徴、メリット・デメリット)
上記2までで、概要・具体的な手順は、お分かり頂けたと思うのですが、でも結局、自分にはどの方法が向いているのか、よく分からない、という方の為に、上記の方法の各々の特徴、メリット・デメリットという形で、以下に、まとめてみました。
(1)方法A(docker pull mysql コマンド + docker run コマンド)
特徴:
- 個別のコマンドを使用するので、シンプルな方法です。
- 単一のコンテナを作成する場合や、簡単なテスト環境を作成する場合に適しています。
メリット:
- 簡単で直感的な方法です。MySQLイメージをダウンロードし、すぐにコンテナを実行できます。
デメリット:
- デフォルトの設定や構成に制限されるため、カスタマイズが制限されます。
- コンテナの起動やネットワークの設定、依存関係の管理など、より複雑なシナリオに対応するのが難しいかもしれません。
(2)方法B(Dockerfile 設定ファイル+ docker build コマンド + docker run コマンド)
特徴:
- カスタマイズ可能なイメージを作成できます。
- Dockerfileに基づいてイメージをビルドし、コンテナを作成します。
メリット:
- Dockerfileを使用することで、カスタマイズされた環境を作成できます。必要なパッケージのインストールや構成変更などを自動化できます。
- リポジトリにDockerfileを含めることで、再現性と共有性が向上します。
デメリット:
- Dockerfileの作成とメンテナンスには少しの学習コストがかかる場合があります。
- シンプルなテスト環境を作成する場合には、ややオーバーキルになるかもしれません。
(3)方法C(docker-compose.yml 設定ファイル+ docker-compose コマンド)
特徴:
- 複数のコンテナを定義するためのYAMLファイル(docker-compose.yml)を使用します。このファイルには、各コンテナの設定や依存関係、ネットワークの構成、環境変数の管理などが記述されます。
- シンプルで一貫性のある構成を提供し、複数のコンテナを一括して管理するのに適しています。
- 依存関係の管理が容易です。たとえば、MySQLコンテナが起動する前に、依存するデータベースやキャッシュストアのコンテナが起動するように設定することができます。
- ネットワークの設定も柔軟に行えます。コンテナ間の通信や外部ポートのマッピングなどを定義できます。
- 環境変数の管理も容易です。コンテナ内で使用する構成値やシークレットなどを簡単に指定できます。
- (まとめになりますが)docker-composeコマンドを使用することで、docker-compose.ymlファイルに基づいてコンテナの作成、起動、管理が行われます。単一のコマンドで複数のコンテナをまとめて管理するため、複雑なマルチコンテナ環境の作成や開発環境の構築に便利です。
メリット:
- 複数のコンテナを一括して管理できます。依存関係の管理やマルチコンテナ環境の作成が容易です。
- プロジェクトの設定や構成が1つのファイル(docker-compose.yml)にまとめられ、共有しやすくなります。
デメリット:
- 単一のコマンドで完了する単純なテスト環境の作成には適していません。
4.総括
以上を総括してみると、
方法Cは複数のコンテナの管理や依存関係の管理、環境変数の設定などが容易になります。
ただし、シンプルなテスト環境を作成する場合には、ややオーバーキルになるかもしれません。
その場合は、方法Aや方法Bが適している、ということが言えそうです。
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