さまざまな腰痛の予防法・改善法
腰は上半身の体重を支え、バランスをとる役割があり、日常の生活で最も負担がかかります。特に人間は二本足で直立して歩行するため、昔から首、肩、腰、足の痛みに悩まされてきました。
西洋医学と東洋医学
現代では、手術により骨を削ったり移植したりする方法などがありますが、それ以前には安静療法(できるだけ刺激を避け、痛みを和らげる)や保存療法などの方法もとられていたそうです。
保存療法
腰痛を予防・改善する方法には、上記の様に安静療法、保存療法、手術療法とがあります。
そのうち保存療法とは「手術を行わず、(1)生活習慣の改善、(2)体操、(3)筋トレ、(4)ストレッチといった適度な運動を生活に取り入れて治す」というものです。
練功十八法
ここでは上記「(2)体操」として、腰痛の予防と改善に効果的な「練功十八法」という体操をご紹介します。
練功十八法は、中国で「太極拳」や「中国ラジオ体操」とあわせ、中国三大国民体操として親しまれている体操です。この体操には3コース(前段、後段、益気功)あります。
このうち特に「1コース(前段)」には腰や脚の筋肉をほぐす効果があり、比較的簡単に行えるので、ぜひおすすめです。以下、そのやり方と感想です。
コース | 効果 | 対象となる人 |
1コース(前段) | 首、腰、肩、脚の筋肉をほぐす効果がある、軽めのストレッチ体操 | 日常生活で初心者が行える人 |
2コース(後段) | 首、腰、肩、脚の関節をほぐし、内臓をリラックスさせる効果がある、強めのストレッチとマッサージ体操 | スポーツを終えた人や体力のある人 |
3コース(益気功) | 心肺機能を向上させる効果やマッサージ効果がある。 | 中高年の人や体力がない人 |
練功十八法の1コース(前段)
-
頸項争力
ジンジァン・ジョンリィ
-
左右開弓
ズァヨゥ・カイキュウ
-
双手伸展
シャァシュゥ・シンジェン
-
開濶胸懐
カイクォ・ションファイ
-
展翅飛翔
ジャンチィ・フェイシァン
-
鉄臂単提
テイェビィ・ダンテイ
-
双手托天
シャンショウ・トォクテン
-
転腰推掌
ジェンヨォ・トイジャン
-
叉腰旋転
シャーヨォ・シェンジェァン
-
展臂弯腰
ジェァンビィ・ワンヨゥ
-
弓歩挿掌
キョウブゥ・チョォウジャン
-
双手攀足
シュアンショウ・バンズゥ
-
左右天膝
ザァヨゥ・ジュアンシー
-
仆歩転体
ブゥフゥ・ジャァンティ
-
俯躑伸腿
フゥドゥン・シェントイ
-
扶膝托掌
フーシートゥジャン
-
胸前抱膝
ションチェン・パオシー
-
雄関漫歩
ショォングァン・マンプウ
首筋を伸ばします。これは(例えば、長い距離を腕を振って走り終えた時など)首筋の僧帽筋が緊張しすぎて、呼吸がしずらくなることを予防します。
/ 私はフルマラソンの後、やはり呼吸がしずらくなり焦ったことがあります /
胸を開き肩甲骨を引き寄せます。これはランニングに必要な肩甲骨の柔軟性を養います。
/ 左右のバランスが悪いと、腕振りが同じようにできません /
両手を上に伸ばします。これも肩から腰にかけてリラックスさせます。
/ 四十肩、五十肩の予防にいいです /
深呼吸をしながら、両手を前→上→横→下と伸ばしていきます。
/ NHKラジオ体操で最後にやる深呼吸と同じですね /
肩から肘までを翼に見立てて、前→下→後ろ→上→前とグルグル回します。これも肩甲骨を柔軟にします。
/ 私も右肩が固いのですが、ゴリゴリと音がしました /
手を鉄に見立てて持ち上げるイメージです。手を背中においてから開始するのですが、意外にキツいので無理をしない方がいいです。
/ ここまでやると肩甲骨が軽くなった気がしました /
両手で天を支えるイメージです。これは背骨を伸ばし歪みを矯正します。
/ デスクワークで背骨が痛くなった時に、無意識にやっている人も多いと思います /
腰を回して掌を押し出します。掌を前に伸ばす時、顔は反対側に向けます。伸ばした手と反対側の肘も首の方向に引きます。
/ 腕の内側の筋が伸びるのが分かります。たぶん首の向きがポイントなんだと思いました /
腰を中心に上半身を回します。両手は後ろで腰に当てています。
/ NHKラジオ体操みたいに両手をダラーンと伸ばして腰を回すと、つい膝を中心に回転してしまうんですが、この叉腰旋転では、腰の中心がよく回っている感じがしました /
腕を広げて腰を曲げましょう。
/ これもNHKラジオ体操の上に伸びてからの前屈と似てますが、この展臂弯腰は、すぐに前屈しないで両手を左右に広げて、腰を起点に途中でいったん静止します。腰と肩、腕が効いてる感じがしました /
脚を弓型にして、腰に意識を置いて、手を前に伸ばします。
/ 腰の周りの筋肉が伸ばされて、気持ち良かったです /
身体を伸ばしてから、両手を足の甲につけます。
/ これはNHKラジオ体操の前屈と同じですね /
膝に手を当てて、息を吸いながら回転させ、戻る時に息を吐きます。
/ 膝が弱い人は無理をしない方がいいみたい /
脚を広げ、手は腰に置き、太腿の内側に意識を置いて、膝を曲げて身体を左右に回します。
/ 上半身は真っ直ぐのまま、というのがけっこうきつかったです /
意識は腰、お尻、太腿において、いったんしゃがんでから、膝を屈伸させて下肢を伸ばします。
/ マラソンで両足がけいれんしそうな時は(しゃがまずに)これをすると良いと思います /
膝を支えて手をかざします。
/ ヒンズースクワットと似てるけど、中腰のまましゃがみ切らないのと、両手を交互に上に伸ばしながらなので、もっときつい感じです /
片足を前に出して両手を万歳して身体を伸ばし、続けて膝を上げて両手で抱きます。
/ ランニングの体操で、これを走りながら、飛び上がってやる準備体操あるけど、この胸前抱膝はゆっくりやるのがミソです /
両手を腰に当てて、片足を大きく踏み出し、後ろ足はつま先で地面を蹴って、前足に体重を移します。続けて、後ろ足に体重を移し、前足を後ろに戻す。これを繰り返す。
/ ふくらはぎに効いてる感じです /
まとめ
全部で18の体操がある「練功十八法(前段)」でした。
特に肩甲骨や股関節の柔軟性が、ランニングには必要ですので、ランニング初心者が身体をほぐすのにちょうどいいのではないでしょうか。
参考URL
上記の記事を読んで興味の沸いた方は、以下の参考URLもご覧下さい。動画と日本語の音声説明があります。
[…] まず肩甲骨を柔軟にする体操(この体操については、こちら「中国三千年の歴史 – 練功十八法のすすめ -」を参考にしてください。肩甲骨を柔軟にする体操をご紹介しています。)をし […]